徒然かえる日記

気になった技術を徒然と。

ハンダ後にスタビライザーの静音化をして微妙な結果を得た

標題の件、DZ60キーボードのキーキャップを新しいものに取り替えるついでに、前々から気になっていたスタビライザーのカチャカチャ音を低減することを試みたので記録に残す。

要約

ハンダ付したスイッチを外したく無いがため独自の静音化を試みた。そして失敗した! やはり静穏化は組み立て前にするのが絶対いい。 究極的な解決策はスタビライザー使わない。

スタビライザー静音化とは

キーボードの長めのキーにはキーの押下が均一となるよう通常棒状の金属パーツ、スタビライザーが付与されている。このパーツがないと、キーの端を押さえた際に片側だけ沈み込んでうまくスイッチが押し込めない事になるので重要なパーツであるのだが、意図してか部品同士の遊びが多く、プラスチックや金属が接触してカチャカチャと不快な音を立てる。感触的にもキーを押し込む前にカチャっとひっかかるためよくない。
そこで、なんとかしてノイズを低減、できるなら押下時の感触も向上したいというのが作業の目的となる。

一般的なスタビライザー
一般的なMXスタビライザー

通常この手の作業はキーボード組み立て時に行うのだが、なにぶん私が素人であったことや組み立て時に参考にした記事に記載がなかったことからできていなかった。
では、分解すればいいじゃんと思うかもしれないのだが、スタビライザーはPCBとキーを固定するためのプレートにサンドイッチされ、そこをハンダ付けされたスイッチがカスガイのごとくガッチリホールドしているため、ハンダをとって、スイッチを取らなければ取り外しや分解ができない。
ハンダが苦手な私には時間がかかる上、ともすればPCB破損のリスクもあり、その上面倒でやりたくはないのだった。海外にも同じ境遇の同志がいるようで"mod stabilizer without desoldering"でググると沢山悲鳴が聞こえてくる。が、いまいちこれといった解決策がないので自分で考えて試してみた。ところ撃沈した。悲しみ。。。

ノイズの発生源

おそらくノイズの発生源は以下三つが存在する。結局、スタビライザーの稼働部分と固定部分全てだ。
今回は1と2を想定してそれぞれ対策した。3は今回対策後に気づいた最も重要な原因。そして、今回は対策できてない。。。

  1. 基板とスタビライザーの土台部分のガタつき
  2. スタビライザーの土台部分と稼働部分のガタつき
  3. スタビライザーの稼働部分と金属パーツのガタつき

ノイズの発生源
ノイズの発生源(①のツメでPCBに固定されている)

基板側の対策

スタビライザーとPCBにできる隙間を塞いでノイズ対策をする。ネジで固定するスクリューインタイプのスタビライザーを使うのがベストだが、そうでないスタビライザーには隙間を絆創膏や、専用のフィルムで塞ぐ対策が知られている。

スクリューインタイプのスタビライザー
GMK Screw-in Stabilizers 104 kitshop.yushakobo.jp

専用のフィルム
KBDfans Stabilizers foam sticker (20Pcs)shop.yushakobo.jp

今回はPCBとスタビライザーを分解することができないので、基板下から抑え込むことにした。使用する道具はこちら。
エポキシパテ!模型とかで使われる硬化材だ。粘土をこねこねして成形後、およそ1日でプラスチックのようにもしくはそれ以上に硬くなる。

www.cemedine.co.jp

で、これをおもむろにスタビライザーのツメの部分に押し込んでペタペタする。スクリューインタイプのスタビライザーを再現と言われるとそんな感じがするが、それとは違い恐らくもうスタビライザーの取り外しは不可能だ!

エポキシパテによる施工例
エポキシパテでスタビライザーの根本を固定した

で、硬化後、PCBとスタビライザーは完全に一体となった!
土台部分のガタつきはなくなり目的を達成出来た!こころなしかキーを押した時の不快な感触が減ったような。。。プラシーボレベルで。。。
しかしこの時点でも、やはりカチャカチャいうのに変わりない。次なる対策に向かう。

スタビライザー側の対策

スタビライザーの稼働部分に大きな隙間があるので、稼働部分にテフロンテープを貼り、隙間を埋めつつスムーズにするという対策がある。*1 しかしスタビライザーが分解できてこその技。今回は使えないので、何とか隙間を埋められないか考えた。

対策したい隙間
ここの隙間

そこで編み出したのがクリアファイル差し込み。
クリアファイルを稼働部分と土台部分との接触面と同じサイズに切り、片側に接着剤をつけて差し込んで固定する。

  接着剤をつけずに手元のスタビライザーでやったところ、かなり良好な動き具合。若干遊びはあるものの、クリアファイルの柔らかさにより部品同士が接触してもカチャカチャしない!
ということで、早速接着。

クリアファイルの施工例
クリアファイルなので見えないかもしれないが接着されている。。。

で、接着後にキーをはめて試したところ、キーが戻らない!スタビライザーが接着剤で固まったとかではなく、スタビライザーの左右が窮屈な感じ。推測だが、土台部分、稼働部分、キーの接続部分が全て平行ならスムーズに動いたのだろうが、それぞれ曲がっている上、遊びがないため動きを阻害することになっているようだ。。。

こちらの対策は完全失敗。PCB側の対策をしていなければ、こちらの方が効き目があったかもしれないが。。。
泣く泣く切り刻んだクリアファイルの残骸をスタビライザーから剥がして、稼働部分に少し残った接着剤を綺麗に清掃した*2。細く切ったクリアファイルくんを差し込んでゴシゴシ。切り刻まれた上役にも立たず、その上後始末をさせられるクリアファイルがなんだか不憫に思えてきた。。。

本当に必要だった対策

PCB側だけスタビライザーを固定してなおもカチャカチャ言ってるキーボードを見ながら気づいた。カチャカチャ言ってるのは、スタビライザーの稼働部分と金属の接触部分だよな。。。なんか周辺ばっかり対策してたわ。。。
こちらは正直ルブを塗るくらいしか対策が思いつかない、が恐らくそれが最も効果が高いはず!*3ということで今回の対策を終わった。カチャカチャしないほどにルブを塗るのはかなりルブを使う事になりそう。今回はルブもないし先送りに。。。 *4

おまけ

PCBをケースから取り外す際に、ケースに破損を発見!
ケースとPCBを固定するための台座でナットを固定している部分が全て壊れている。。。状況から見るに経年劣化か、はたまた私が気づかずにアルコールで拭いたからかによるクラック様の破損だった。スタビライザーの固定でも使ったエポキシパテで修復&補強!

破損修理
PCB固定のためのナットがついている部分の破損を修理

元々はこんなんでした。。。
60% プラスチックケースshop.yushakobo.jp

エポキシパテのおかげでがっちり固まった。クリアなケースにパテ跡が何だかみすぼらしい。。。
しかしながら今回買ったキーキャップをセットすれば見えません!小さいことは気にしない!

修理の後
いろいろ修理した後、外が良ければ全て良し!

以上。
何ヶ月後になるかは分からないが、今度はラズパイでキーボードの原型を作る記事を書こうと思います。

*1: 実施されてる方 【自作キーボード】スタビライザーがうるさいので静かにする | ONION BLOG

*2: 瞬間接着剤だったら終わっていた。そうでなくて良かった。。。

*3: すごく丁寧に解説されてる方 スタビライザーのルブの話 - 自作キーボード温泉街の歩き方

*4: ワセリン使う例が海外では多い。オリーブオイル使う記事も見かけたが流石にそれは抵抗があるな。。。